2015年3月31日火曜日

撮影とか新文芸坐でのキューブリックとか。

こんばんは。
最近はtwitterアカウントでダダ漏れてもいるのですが、色々読んだり観たりして基本ヘラヘラしながら毎日を送っております〜。
といってもそれはあくまで基本であって、ヘラヘラしていない時だってあるわけです。
たまには定期券内から勇気を出して足を踏み出してみることもあるわけで、今日がまさにそうでした。


撮影でちょっとした遠出。
朝4時半に起きて行ってまいりましたよ〜。
写真は車窓から見える田園風景(を捉えられなかったの図)と移動中読書用の「小説修行」です。
いやしかし、この「小説修行」、面白いです。
僕はここ1年ぐらい保坂和志の考え方に感化されまくっているのですが、保坂とその師匠と言っていい存在に当たる小島信夫の往復書簡集なんです、「小説修行」は。
もうね、

どうしてそういうことになるのかと言うと、カフカが夢と同じ強度を持った書き方をしたからで、現実でなくて夢の方にこそリアリティがある(夢>現実>フィクション)、夢こそリアリティの源泉だ

なんて部分は、傍線引きまくりたい衝動にかられましたよ。
図書館の本だから出来なかったんですけど……。
あと小島信夫の方は、彼の小説と同様、時々「あれ? こいつ何言っているんだ?」って思っちゃうというか、筒井康隆は小島信夫のこと「ボケている」なんて書いてましたけど(褒め言葉として!)、何回か読み直さないと、時には読み直しても混乱しちゃうような文章で。
保坂和志でさえ

「美濃」を十七、八年ぶりに読んだのですが、正直、途中から話を終えなくなりました。はじめて読んだときも途中から人物が何を話題にしているのかよくわからなかった形跡があります。

なんて言っていて、あ、保坂もそうなんだ〜、って安心しちゃいました。
それでも、というか、それだからこそ面白いんですけど、小島信夫。
あ、完全に「小説修行」の話になっちゃってましたが、撮影のことはまだ何にも喋れないので、これで仕方ない!
撮影、といっても今日はちょろちょろだったんですけどね〜。


あとですね、昨日は新文芸坐にキューブリックを観に行ってきたんですよ〜。
新文芸坐! 池袋! 定期券内!
3月29日から文芸坐ではキューブリック特集やっておりまして、キューブリック好きです!と言っている人間としては行かないわけにはいかないだろうと。
観てきたのは「時計じかけのオレンジ」と「博士の異常な愛情 または私は如何にして危険を心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」です。
や〜。
いやいやいやいや……。
最高でしたね……。
実はこの二本、DVDで確実に10回以上観ているとはいえ映画館で観るのは初めてだったんですよ。
だから「時計じかけのオレンジ」のオープニングでスクリーンが真っ赤に染まった瞬間、うお〜!!
続くマルコム・マクダウェル演じるアレックスのアップで、どえ〜!!
やっぱ違いますよ。
内容に関しては今さらここでウダウダ言うあれでもないので書かないですが、個人的にはレコードショップに置かれているビートルズとピンク・フロイドが映画館の大きなスクリーンで観て初めて分かったってことだけ。ささやかな喜びでした。
あのレコードショップのシーン大好きなんですよねぇ。
ぐるーっと回るカメラの動きとか快感以外の何ものでもない!!
てか、改めて観直して再認識したんですが、好きなシーンだらけでした、「時計じかけのオレンジ」。
凄く好きな映画です。

そして「博士の異常な愛情」。
素晴らしかったですねぇ……。
「時計じかけ」より前回の鑑賞から間が空いているということもあったのかな、正直「博士」の方がたまらなかったです、今回。
もうずーっとクスクスしちゃった。
周りがあんまり笑わないから、ちょっと抑えたけど笑い声。
でもあの映画、笑いの要素が結構芝居のニュアンスによってる気がするので、僕も笑えるようになったのは3,4回目の鑑賞からなんですよねぇ。
字幕、そんなにがっつり読まなくても分かるようになってから。
もちろんストレンジラブ博士なんかは問答無用で面白いんですが。
でもね、何回も観ているうちに大統領を中心とする会話が滅茶苦茶面白くなってきたんです。
あの感じ! いやもうこれ観てもらわないと伝わらないやつなんですが!
大統領出てくるだけでニヤニヤしちゃうもんな〜。
しかし本当にこの作品のピーター・セラーズは凄いです。
一人三役で、マンドレーク大佐では"狂人”リッパーの芝居を受けて、大統領の時はニュアンスで笑いを取りにきて、ストレンジラブ博士は力技。
「コメディの演技」って括りで見たら、いやそんな括りなくても、歴史に残る芝居だろうなぁ、きっと。
あと分かってはいたのですが、この作品の照明・モノクロ撮影の美しさは、映画館で観て改めてほえ〜っとなりましたよ。

だからね、新文芸坐のキューブリック特集、皆さん時間があったらぜひ〜!
明日からは「バリー・リンドン」(明後日行く予定!)、そして明々後日からは「フルメタル・ジャケット」と「アイズ・ワイド・シャット」の二本立て(行けるかな? 行けるよう頑張る!)ですよ〜。
何かね、お客さん入ってはいたんですが、もっと若い人がいてもいいのになって思ったのでね!
(客席の年齢層が高かったのは、僕が平日の昼間なんていう、同世代の人間が会社やらお店やらで働いているであろう時間に観に行ったことが関係している気もするけど……)

あ〜。キューブリックの次に映画館で観る映画は何かな〜。
「イミテーション・ゲーム」か「神々のたそがれ」か。
4月は観たい映画、かな〜りあるので、それについてもいずれここで書きたいと思っております。
ではでは、僕はこれからTSUTAYAで借りてきたウディ・アレンの「人生万歳」を観ま〜す。
(ウディ・アレンの新作もやりますね、4月。嗚呼、お金が……)

2015年3月20日金曜日

東京ジャンクZと木ノ下歌舞伎を観たよ!

こんばんは〜。
新宿の映画館で3年半以上も働いているので(シネコンで2年ちょい、ミニシアターでちょうど1年半)、1週間は土曜始まりってついつい考えてしまいます。
土曜が週の頭に来るような“映画館手帳”を作ってほしいと前々から思っている、どうもホリです。
さてさてそんなわけで、今週ももう終わりだー!

そんな今週、「最後のサムライ」終演とともに無事現代に帰ってきまして、最近は読書したり観劇したりで平和なこの時代の空気を享受しております。
読書は筒井康隆の「時をかける少女」とヴォネガットの「スローターハウス5」。
今気付いたのですが、偶然二つとも時間を飛び越えるSFです。
両方とも面白かったなぁ。
ヴォネガットは読むの二冊目で、正直言うと前読んだ「タイタンの妖女」(太田光の事務所の名前になってるアレです)の方が好きだったんですけど、でも「スローターハウス5」読んで、「あ〜ヴォネガット、もっともっと読みたいなぁ」となりました。
「猫のゆりかご」とか「チャンピオンたちの朝食」とか。
まぁ、順番としてはピンチョンの方が先なんですけどね。
あ、明日からはフィリップ・ロスの「さようならコロンバス」を読みます。
ホリ、現代アメリカ文学づいております〜。

そして観劇。
こちらも二つで東京ジャンクZの「100万回生きたねこの野郎」と木ノ下歌舞伎「黒塚」。

まずはこちら。


東京ジャンクZの「100万回生きたねこの野郎」。
早稲田大学演劇研究会に所属する犬と串の後輩劇団でして、今回の公演は「新喜劇」と銘打った番外公演とのことです。
やー、このタイトルもフライヤーデザインからも漏れ出る、ゴテゴテ感、ベタベタ感。
それは幕が開いてもそのままで、ひねりなんかきかせず、捨て身で笑いを取りに来るドロ臭さ。
そういうの、良いですよねぇ。
そんでもって、いっぱい笑っちゃいました。
中でもやられてしまったのは、「島に伝わるバケ猫伝説」をでっち上げる中で唐突に出てくるストームライダー(ディズニーシーにあるやつです)のめっちゃ完成度高いモノマネなんだけど、あれもう一回見たいなぁ。切に、切にもう一回見たいです。
しばらく笑いおさまらなかったもん。

東京ジャンクZ、次回は5月の下旬に本公演があるみたいです。
本公演の方はわりと真面目なのかな…?
楽しみにしています。

そしてそして、二本目は木ノ下歌舞伎の「黒塚」。


スケジュールが想定以上に埋まってあれ?ってなってしまっている最近ですが、
この「黒塚」は11時開演の日があったので、そこにズザザーッ。
ハードルを思いっきし上げて、駒場アゴラ劇場に向かいました。
というのもこの作品、「CoRich舞台芸術!まつり2013春」でグランプリを取った作品の再演なんですよね。
2013年の「CoRich舞台芸術!まつり」といえば、犬と串「左の頬」が最終選考10組にまで残った年。
つまり「黒塚」にはちょっとした悔しさを持っているわけです、犬と串劇団員としては。
というわけで、「どんだけおもろいか見せてもらおうじゃないか、ええ?」みたいな、いやこれは80倍増しぐらいで誇張した表現ですが、兎にも角にも、面白いことは想定済みです、みたいな感じで観に行ったんです。
そしたらね、

想定、超えてきました。

やばかったです……。圧倒されました……。
芝居に飲み込まれちゃった感覚。
終演後、出演されていた福原冠さんともお会いしたのですが、その時になっても言葉がうまく出てこなったですもん。
「面白かったです。凄かった」としか言えなかった。

ストーリーはとってもシンプルで、
老女に宿を借りた修行僧たち。老女は「奥の部屋を覗くな」と言って外へ。しかし覗くなと言われると覗きたくなっちゃうのが人の性……
みたいな。ってこれはあまりにも雑なまとめですが。
そんな話を、平台組み合わせただけじゃん!なこれまたシンプルな舞台美術の上で展開していくわけです。
そしてそれが滅茶苦茶面白い!
序盤から結構笑わせてくれますし、「覗き」と同時にEDM調の曲がかかる中盤のゾクゾク感、そこから語られる老女の過去でググーッともう一段階深いところまで心掴まれ、
そして終盤はもう……椅子に縛り付けられたようになって観ていました。
出演者が本当に皆さん素晴らしくて、そしてこれ散々言われているんでしょうけど、老女を演じた武谷さん、凄まじすぎます……。
劇場を鷲掴みにして叩き付けるぐらいの圧と、そしてその奥にある哀しみが。嗚呼。
しかも立っているだけで、かっこよかったし美しかった。ひゃ〜。
木ノ下歌舞伎も、あと杉原邦生さんの演出も、今後は積極的に観ていこうと思ったのでした。
や〜! もう1回観たいわ!!

……けど、それは叶わぬ想いなので(チケット売り切れらしいし、あとスケジュール的にも……)、心に残っている「黒塚」の情景を反芻しつつ、今日は寝ようと思います。
おやすみなさい。

2015年3月18日水曜日

「最後のサムライ」終演、そして平田オリザへ

こんばんは、ホリです。
遅ればせながらのご挨拶にはなってしまうのですが、「最後のサムライ」無事終演いたしました〜。
ご来場頂いた皆様、本当にありがとうございました!


この客席を見つめる毎日、2週間弱の本番は終わってみればあっという間でした〜。
ドキドキの初日から始まって、ハードな昼夜2回公演、それが終わっての解放の休演日、ゆったりとした夜だけ公演の2日間からの怒濤のラストスパート。
千秋楽前日のカーテンコールではスタンディング・オベーションをして頂き、
そして千秋楽ではそれに加えて、まさかの一本締め。
700人で一本締めなんて、今後の人生で経験することはおそらくないと思います。
色んな意味で凄かったです。
そしてこの一本締めと同時に、髪をオールバックで固め、袖を走り回り、わずか1時間に5回も殺される日々も終わりました。
それはつまり、「腹が減っては戦が出来ぬ」なんて芝居の進行にはほとんど関係ない、はっきり言ってどうでもいいセリフを、この大きな舞台のセンターで客席を見回しながら言う快感に打ち震える日々にも終わりが来たということです。
や〜あれは楽しかったな〜。
しかし、ひゃ〜疲れたな〜。

そんなわけでこのブログもまた趣味ブログに戻りそうな気がします。
次の舞台の予定は8月とちょっと先なので。
それまでもちょこちょこっと撮影があったりとかWSに行ったりとかはしますけどね〜。

しかしね、これで僕の中での「最後のサムライ」が完全に終わってしまったわけではないのです。
や、「最後のサムライ」は僕の心の中でなんちゃらとかそういうことではなく、物理的な問題として。
髪が短い、っていう問題なんですけどね。
上にも書いたように今回オールバックで、時代劇なのでもちろん黒髪指定。
そんなわけで金髪混じりの茶髪と化していた髪の毛をだいぶ切り落としたのですが、
結果、童顔が強調され、あちゃ〜。
髪切った初日は稽古場で「森山未來に似てる」だの「若い頃のイチロー」だの言われ悪い気はしなかった、というかむしろソニンさんに「未來に似てる!」って言われた時は嬉しくさえあったのですが、
ある日、柿喰う客の敬三さんが言った一言、

「ほりちゃん、(平田)オリザさんに似てるね」


これが小劇場系の出演者を中心に圧倒的な支持を集め、最終的には青年団所属で今回通訳で関わってくださった近藤さんのお墨付きまでもらい、
後半戦、僕は平田オリザとして今回の舞台を頑張りました。
現代口語演劇とは真逆のところにいる劇団に身を置いているのに、オリザさんに似ているというこの矛盾を僕はどう処理すればいいのか。
「最後のサムライ」が終わってからというものの、そんな苦悩を抱え日常を過ごしております、どうも平田ホリザです。

平田オリザって誰?って方はwikipediaを見ればいいと思いますよ。
青年団、6月に「冒険王」をやるみたいです。これを機に久々(といっても1年半ぶりとかだけど)に青年団観ようかしら〜。
でもその前に「幕が上がる」よね。
高校演劇出身者としては観たいところ!

2015年3月10日火曜日

「最後のサムライ」、明日から後半戦でござる(電車の中では井上ひさし)。

こんばんは、絶賛本番中のホリです。
「最後のサムライ」、前半戦が終了いたしまして、本日は休演日でございます〜。
ご来場頂いた皆様、本当にありがとうございました!


こちらは初日の写真。ソニンさんに頂いたマッチ。
なんと全員の名前とメッセージ入りです。ステキ!
メッセージは……秘密です。ネタバレになっちゃいますし。

そんな初日から6日間8ステ、舞台上、そして舞台裏を走り回る今回の舞台ですが、無事ケガなく折り返しを迎えることが出来ました。よかったよかった。
一回だけ舞台裏の階段で蹴つまずきましたが、その時態勢立て直すこと叶わず、階段上から落下、頭蓋骨粉砕とかにならなくて本当によかった。
明日からも気を引き締めて参りたいと思います


こちらは舞台裏の写真。
矢印の方向が舞台上で、その上におそらく「HEAVEN」ってテープが貼られていたものがちょっとはがれちゃったもの。
舞台裏の薄暗いところにこれがあると、テープのはがれ具合も込みで、何だかデヴィッド・リンチの世界みたいだな〜なんて思っております。
あ、デヴィッド・リンチってのはちょっと変わった作品を撮る映画監督で、僕ものすごく好きなんですけど、ここでその魅力を書くと長くなっちゃうので、気になる方はとりあえずwikipediaでもどうぞ(はたしてそんな人いるのか分かりませんが)。
僕は「マルホランド・ドライブ」が一番好きですが、最初に観るなら「ブルー・ベルベット」が良いような気がします。

そんなこんなで今日は休演日。
労働して、映画を観ようかと思ったけどやっぱりやめて、結局読書読書な一日です〜。
最近は井上ひさしを読んでおります。
時代小説フェアが町田康から井上ひさしに移ってきたのです。


とりあえず「手鎖心中」を読み(直木賞受賞の表題作も良かったけど、僕は併録の「江戸の夕立ち」にやられてしまいました)、そして今は「腹鼓記」を読んでおります〜。
筒井康隆が井上作品の中で「吉里吉里人」に並ぶオススメと書いていたので手に取った「腹鼓記」ですが、やー確かにこれは滅茶苦茶面白いですね。
500ページ弱の小説で残り40ページほど、そう、もう終盤なんです。
このブログ書いたら、バーッと読んでしまおうと思っております。楽しみだ〜。
そして明日からは「不忠臣蔵」。えへへ、これも楽しみだわ。

ってニヤニヤしちゃうけど、何てったって明日は昼夜公演なんです。
早起きして、しっかりアップして、きっちり本番やりますよー!
がんばる。がんばらないよう、がんばる。