前回書いた通り、最近はあまり映画観れてなかったんですけど(今月まだ3本……)、
昨日ずーっと前から観たかった1本を観てまいりました。
ポール・トーマス・アンダーソン、通称PTAの新作!
「インヒアレント・ヴァイス」です!!
(ヒュートラ渋谷にあったパネルです。ステキですねぇ)
PTAは結構好きで、
「マグノリア」(カエルがアレすることで有名な映画です)
「パンチドランク・ラブ」(ラブストーリーなんだけど、屈折しててウフフ)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(凄まじいです……)
「ザ・マスター」(来世まで届くんじゃないかなぁ)
とデビュー作の「ハードエイト」以外は観ていて、しかも個人的には外れなしなんですけど、
や〜、今回も良かったなぁ、PTA、
もう1回観たいなぁ、PTA、って感じでございます。
ただハマらない人はとことんハマらないかと思う今作。
同じ列にいたお兄ちゃんは寝てたし。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で、いわゆる「普通の映画」の極限まで行き着いたって意識がPTAにあって、「ザ・マスター」からは本当に今まで誰も見たことのないものを作り出そうとしているんじゃないかと(しかも商業映画として成り立つスタイルで)、そんなことを思ってしまいます。
「ゼア・ウィル〜」以降、PTA作品の音楽は、レディオヘッドのギタリストとしても知られるジョニー・グリーンウッドが一貫して担当していますが、
「OK Computer」でギターロックを限界まで推し進めて、次作「Kid A」でギターを放棄、極端に抽象度の高いエレクトロニカをやり始めたレディオヘッドの歩みとPTAのそれは何となく重なる気がします。っていうのも僕の妄想ですかねぇ。
そんなわけで「ザ・マスター」に引き続き、なんか一歩突き抜けてしまっている感じがします。
といっても、変な人がいっぱい出てきてミョーな話を展開する、結構笑える映画なんですけど。
まぁ、原作がね、奇妙奇天烈作家ピンチョンですしね!
このブログにも出てきたことあります、ピンチョン。好きですピンチョン!
まー原作と比較しますと、そりゃ省略はされてますし、
原作にはアメリカの歴史の暗部を丸ごと飲み込んでしまうような、バケモノみたいな射程の長さがあったんですがそれもなくなってますし、
てか原作未読の方は、果たしてこのピンチョン的に増え続ける登場人物の多さ、迷路みたいな関係性についていけるのか、いやきっと無理だろう、なんですけど、
でも小説は小説。映画は映画。ですよねぇ。
映画的快感、ハンパないです。
ホアキン・フェニックスとジョシュ・ブローリンの芝居を見ているだけで楽しいですし、
そしてお得意の動くカメラ。強度のある絵。
「ゼア・ウィル〜」とか「ザ・マスター」とかほどバチバチに決めてはこないですが、
ユルーい雰囲気で笑わせといてからサクッと入れてこられると、ウオゥ!ってなっちゃいますよね。
CANのVitamin Cが流れるオープニングで本当は「ぎゃ〜!」って叫びたかったです。家だったら叫んでた。それぐらいキマッてるオープニング。ジョニーの選曲も良いです。さすがにCAN好きすぎだろとは思うけど。「ノルウェイの森」でも使ってたし。
あとニール・ヤングが流れるシーン!
あれ名シーンだと思うなぁ。あーこれこそPTA……って幸せでした。
ちなみに原作読んでると、そう再構成するか!ってなるのではないかと。
そしてその試み、上手くいってると思うんですよねぇ。
さすがです。
そんなピンチョン原作の「インヒアレント・ヴァイス」ですが、噂が一つありまして……。
覆面作家、それも記者が家まで訪ねてきたらバスで山まで逃げちゃうレベルのピンチョンが出演しているのではないかっていう……。
どうやら
この動画の56~60秒に出てくるおじいさんがそうではないかと言われているのですが……。
確かにそれっぽい!
若い頃の写真がコレ↑ですからねぇ。
おじいさんになったら、あんな感じでもおかしくない……。
まーしかし、お世辞にも良いとは言えない顔立ちですよね。
歯! 歯が!って思いましたもん、最初見た時。
でもハマってしまってるんです、ピンチョンに。
というわけで、ここ最近チマチマ読み続けていた「ヴァインランド」、本日ついに読み終わりました〜。
いつも通り人物表作りましたが、今回はそんなに多くならなかったです〜。
46人。
ピンチョン読むのももう5作目なので、取捨選択出来るようになってきたってのもあると思いますが。
これでLAものは全部読み終わりましたよ〜。
その中でも一番好きだったかもしれません、「ヴァインランド」。
ドラッグにまみれてたり忍者が出てきたりでブッ飛んでて、
先の展開が全く見えず、話は広がり続けて収束せず、
でも何だか時々たまらなく切ないっていう……ピンチョンやっぱいいなぁ。
「ヴァインランド」は60年代の因縁から起こる80年代の話なんですが、
描かれる60年代の光と闇っぷりが、ひゃ〜、たまらないです。
で80年代のどうしよもない人間たちが、や〜、好きです。
主人公(の一人? そう思われる男)からして、生活保護のお金得るために年一で店の窓ガラスに突っ込んでる男ですからねぇ。
それもまた色々と理由があるんですけど……。
そんなわけで止まらないピンチョン読書。
明日からは長編処女作「V.」を読もうと思います。
25歳の時に書いた作品だってさ。今の僕より年下じゃん!
あと全然関係ないのですが、「インヒアレント・ヴァイス」観る前に、せっかく渋谷まで来たんだしってことで、PARCOで期間限定オープンしてる、マッシュストアに立ち寄ってきました。
女の子ばっかりのオシャレ雰囲気に負け、店内は軽〜くしか見なかったのですが、その代わり店頭で流れていた「マッシュ」のメイキング映像をじっくりと見たホリでございました。
菊池亜希子、ステキだなぁ。
やっぱマッシュ買い集めようかなぁ。
とそんなことを思っている、ここ最近でした。